- 近代化されていない路線もまたよし
連続ループ線シリーズ、今回は身近なところで韓国中央線の連続ループ線をご紹介します。
韓国のKorail中央線はソウルと慶州を結ぶ京釜線のバイパス路線として日本統治時代の1941年から1942年にかけて建設されました。
中央線は太平洋戦争中の空爆を避けるためにわざと山の中を通るルートを選んで建設したため、ソウルを出るとすぐに東へ向かい山岳地帯を縫うようにして朝鮮半島南部を目指しています。ここも軍事色の強い路線だったようです。
雉岳ループの交差部 こちらからお借りしました |
ソウルに近い部分は近年近郊路線としての性格が強まっていて、ソウルから約60kmの砥平(チピョン)までは大規模に線路が付け替えられてすっかり都市近郊鉄道に生まれ変わっています。
一方、新しい電車が走る近郊区間を過ぎると、電気機関車がけん引する客車のムグンファ号がのんびり行きかう農村地帯です。
- 似ているけれど微妙に違う
雉岳ループ周辺 |
朝鮮半島の地図を見ると東海岸沿いに南北に標高1200mの太白山脈が走っています。
竹嶺ループ周辺 雉岳ループと間違い探しレベルの差しかないですね |
竹嶺ループのすぐ南にある竹嶺トンネルが分水嶺となっており、北側はソウルを通って北朝鮮側に河口がある漢江流域、南側は釜山に河口のある洛東江の流域です。
雉岳ループと竹嶺ループは両方とも山脈に食い込む狭い谷間の行き止まりにあり、周囲の地形は良く似ていますが、雉岳ループはシンプルな形状なのに対して、竹嶺ループは少し回りこんで回転しています。
竹嶺ループの方が少し輪を大きく取って高低差を稼いでいるという違いがあります。谷間の農村風景はどことなく日本の風景と通じるところがあります。
雉岳ループの方が撮影には適しているようです こちらからお借りしました |
曲線半径と勾配はどちらも350m20‰で、高低差は雉岳ループは約20m、竹嶺ループは約30mです。
雉岳ループの方は世界有数の真円に近いループ線ですね。ここまで真円に近いループ線はほかにはタンド線のサンダルマループぐらいしか思い当りません。
- まな板の鯉状態
ここは韓国の東西南北を結ぶ重要なルートになっており、現在でも客貨ともに多数の列車が行きかっています。
雉岳ループを通らない新線が建設中 |
両方のループ線を連続通過するムグンファ号が9往復あります。ソウルの清涼里駅から2時間30分ほどですので、日帰りも十分可能です。気合を入れれば博多~ソウル~中央線~釜山~博多の日帰りも可能かもしれません。
竹嶺ループの写真は少ないです こちらからお借りしました |
韓国の新線建設は数年単位で遅れることが多いので目標どおり完成するかどうか微妙ですが、いずれ廃止の運命は避けられそうにありません。早目に乗っておくのが良さそうです。
なお、南の竹嶺ループの方は当面は安泰のようです。
さて、次回で連続ループ線シリーズは終了です。
連続ループ線シリーズの最終回はダージリンヒマラヤ鉄道をご紹介したいと思います。
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