公開済みループ線のまとめ

2017/03/19

アジア⑧韓国中央線 雉岳ループ&竹嶺ループ 今のうちに連続通過しておこう 


  • 近代化されていない路線もまたよし

連続ループ線シリーズ、今回は身近なところで韓国中央線の連続ループ線をご紹介します。

韓国のKorail中央線はソウルと慶州を結ぶ京釜線のバイパス路線として日本統治時代の1941年から1942年にかけて建設されました。

中央線は太平洋戦争中の空爆を避けるためにわざと山の中を通るルートを選んで建設したため、ソウルを出るとすぐに東へ向かい山岳地帯を縫うようにして朝鮮半島南部を目指しています。ここも軍事色の強い路線だったようです。

雉岳ループの交差部
こちらからお借りしました
朝鮮戦争後は山間部からの石炭輸送に活躍するようになり、1980年代になると栄州(ヨンジュ)以北の北半分が電化されました。一方栄州より南は京釜線経由がメインとなったため、現在に至るまで非電化です。

ソウルに近い部分は近年近郊路線としての性格が強まっていて、ソウルから約60kmの砥平(チピョン)までは大規模に線路が付け替えられてすっかり都市近郊鉄道に生まれ変わっています。

一方、新しい電車が走る近郊区間を過ぎると、電気機関車がけん引する客車のムグンファ号がのんびり行きかう農村地帯です。


  • 似ているけれど微妙に違う
雉岳ループ周辺
さて、中央線はわざわざ山岳部を選んで敷設されたという経緯もあって、ループ線が2か所作られました。北側はソウルから約120kmの雉岳(チアック)ループ、南側はソウルから約180kmの竹嶺(チュクリョン)ループです。どちらも南に向かって上り坂になります。

朝鮮半島の地図を見ると東海岸沿いに南北に標高1200mの太白山脈が走っています。

竹嶺ループ周辺
 雉岳ループと間違い探しレベルの差しかないですね
その太白山脈の中央部から分岐して南西方向に向かうのが小白山脈です。太白山脈沿いに南下する中央線は、小白山脈を2か所のループ線で越えていることになります。

竹嶺ループのすぐ南にある竹嶺トンネルが分水嶺となっており、北側はソウルを通って北朝鮮側に河口がある漢江流域、南側は釜山に河口のある洛東江の流域です。

雉岳ループと竹嶺ループは両方とも山脈に食い込む狭い谷間の行き止まりにあり、周囲の地形は良く似ていますが、雉岳ループはシンプルな形状なのに対して、竹嶺ループは少し回りこんで回転しています。

竹嶺ループの方が少し輪を大きく取って高低差を稼いでいるという違いがあります。谷間の農村風景はどことなく日本の風景と通じるところがあります。

雉岳ループの方が撮影には適しているようです
こちらからお借りしました
現地ではトンネルの名称で金台第2トンネルループ(금대2터널)、大江トンネルループ(대강터널)と言っているようです。

曲線半径と勾配はどちらも350m20‰で、高低差は雉岳ループは約20m、竹嶺ループは約30mです。

雉岳ループの方は世界有数の真円に近いループ線ですね。ここまで真円に近いループ線はほかにはタンド線のサンダルマループぐらいしか思い当りません。


  • まな板の鯉状態

ここは韓国の東西南北を結ぶ重要なルートになっており、現在でも客貨ともに多数の列車が行きかっています。

雉岳ループを通らない新線が建設中
雉岳ループを通る旅客列車は16往復32本、竹嶺ループを通る旅客列車は12往復24本です。

両方のループ線を連続通過するムグンファ号が9往復あります。ソウルの清涼里駅から2時間30分ほどですので、日帰りも十分可能です。気合を入れれば博多~ソウル~中央線~釜山~博多の日帰りも可能かもしれません。

竹嶺ループの写真は少ないです
こちらからお借りしました
ところが、中央線の原州ー堤川間では現在複線化工事中なのですが、この雉岳ループ周辺は別ルートの新線を建設する予定になっています。これが完成すると雉岳ループは列車が通らなくなるため、おそらく廃止されることになるでしょう。記事によると2018年完成目標となっています。

韓国の新線建設は数年単位で遅れることが多いので目標どおり完成するかどうか微妙ですが、いずれ廃止の運命は避けられそうにありません。早目に乗っておくのが良さそうです。

なお、南の竹嶺ループの方は当面は安泰のようです。





さて、次回で連続ループ線シリーズは終了です。

連続ループ線シリーズの最終回はダージリンヒマラヤ鉄道をご紹介したいと思います。

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